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短期試合での最適戦術

名人戦にちなんで、短期決戦の戦術に関して書こうと思います。


<<前提命題>>

まず大前提として頭においておいてほしいのは


各試合ごとが独立でかつルールが同じであるとする。

長期の最適戦術を用いるより優秀な短期の最適戦術が存在したとすると、
その短期戦術を長期間繰り返せば長期の最適戦術より優れた長期成績が出るため、
これは長期の戦術が最適だったことに矛盾する。
(逆も同様のことが言える)

よって長期と短期の最適戦術は同じになる


という点です。

もちろんこれだけでは反論多数でしょうから、
反論に合わせる形で最適戦術を考えていきます。


ただ短長期の戦術比較にはこの前提を元に議論する要素が多いので
特に「各試合ごとが独立でかつルールが同じ」
という前提条件を含めて意識しておいてください。


尚めんどくさくなりましたら最後にまとめだけ書いているのでそちらをどうぞ


(1)
一試合勝負だとトップを取らなければ優勝できないから、
長期の戦術とは異なるのではないか?



これは単純にルールが変わっています。

長期成績=長期の平均収支や平均順位の成績


と無意識に考えてしまっているために起こる齟齬ですね。

短期の方がウマ100-0-0-0の完全順位
長期の方は通常のウマオカ等での素点性

となっているので最適戦術は違って当然です。


このルールをそろえて


長期間においてトップを取る回数の最大化

1試合でトップ率を最大化


と設定すれば、
それぞれの最適戦術は前提命題の通り一致します






(2)
短期の試合においては相手との点差等によって戦術を変えなければいけないため、
長期の戦術とは異なるのではないか?



こちらは「各試合の独立性」に反します。

前までの試合でついた点差によって、
次の試合の条件が変わりますからね。


ちなみにこれは短期だからといって発生しているわけではなく、
長期においてももちろん発生します。

2000試合で決める大会の2000試合目はもちろん点差を考えなければいけません。
おそらくどうしようもないという結論に至ることがほとんどでしょうが。


短長期の戦術を考える際にもっとも関わって来るのがこの部分だと思います。

偏差が云々、ブレが云々の話とは明らかに違う部分ですので、
この戦術に関してはしっかり分けて考えます。

それに伴ってこの戦術差異を、
終了点(またはそれに順ずる分岐点)の存在による最適戦術の変化ということで

「終了点に対する最適戦術」

と呼ぶことにします。

ちなみにそれに順ずる分岐点とは名人戦で言うところの足きりラインですね。


この部分の考察に入りますが、

まずこれは短長期の戦術以前に非常に身近なところで皆さんが触れています。


半荘自体がそうですよね。


南4局という終了点によって、
南4に近づくにつれ、また他家と点差が開くにつれて、
平場での最適戦術が最適戦術ではなくなっていきます。

分岐点は誰かのトビですね。


これと同じことが複数試合で勝敗を決める大会においても起こっており、
1試合の最適戦術が終了試合が近づくにつれて変わっていくということです。


ちなみにこの問題は麻雀以外でもよく議論になる部分です。


例えば

<終了点>
サッカーにおいて負けている終盤においてFWを増やす
野球で勝っているならバントで加点、負けているならヒッティングで大量点狙い

<分岐点>
野球において休養日を意識して中継ぎを休ませる


これらも同様の理屈で動いていますね。


ということで、

短長期における最適戦術の差異として、
「終了点に対する最適戦術」の差異が存在している

という結論をまずは挙げます。



尚、この差異の存在はいいとして、
実際に終了点に関する最適戦術を考えるとなると、
これは非常に難しいです。

厳密に言えば第一戦東2局から最適戦術は少しづつ変わっていくのですが、
それを考えるのは困難であるため、
通常は考えなくてもいい部分(戦術差異を無視していい部分)と、
考え始める部分に分けて考えます。

これに関しては「平場」という言葉がしっくり来るかと思います。


半荘においては着順を意識しなくて良い、
すなわち局収支に従って打てばよい局を
「局収支に関して平場」

そうでない終盤は「局収支に関して平場ではない」と考えるわけです。


さらにこの平場かどうかは要素によって異なることがあります。

例を挙げれば

フリー麻雀の南3は

「局収支に関しては平場でない」
「チップに関しては平場」

ということになります。
(難しい部分なのでいずれ単独記事を上げるかもしれません。ここではニュアンスさえ伝わればいいです)


今回の名人戦に当てはめて考えれば

第4節におけるASAPINさんは間違いなく平場ではありませんでしたね。

平均収支意識で2223等といっても足きりにかかるので、
平均収支を落としてでもトップ率を高めて行かなければいけませんでした。

ただこれは「着順に関しては平場ではない」というものであり、
「素点に関して平場」であったかは別の話です。
つまり、トップ率を落としてでもデカトップをとる必要はあったか?という点ですね。


個人的な見解としては別にデカトップでなくとも足きりを逃れる点差であったので、
「着順に関しては平場でない」
「素点に関しては平場」
であったと思います。

よってASAPINさんのトップを取るための押しからの放銃は正着で、
トップ時に素点を稼ぐ押しからの放銃は失着があったのではないかと思っています。

もちろん大体の話であり、かつ個人的な見解ですが。



ちなみに余談ですがこの「終了点に対する最適戦術」において正着を求める事に関しては、
シミュレータや確率論がかなり強いです。


麻雀の戦術では、

明確な優劣を出せる統計や確率計算

確率計算が難しい場況判断等の感覚判断

のどちらが優れているかがいろいろな技術で議論されていますが、
この分野においては確率側の完勝です。


感覚的に捉えるには難しすぎるため、
平場に関する議論でも東パツ1000点の価値ですら未だに感覚的な答えが出ていないのに対し、
シミュレータなら東パツ1000点でどの程度の着順率が望めるかが簡単に求まります。

またオーラスの押し引きとなるとある程度感覚的にも求まりますが、
南3の押し引きとなると、オーラスの各家和了点分布に基づいた確率計算に匹敵する感覚判断はほとんど不可能ですからね。


今回着目されるような

短期大会においてどのあたりからトップ狙いにするか
どのあたりから素点を意識して打つか

あたりはシミュレートしてみないと解答が得られない、
議論ではどうしようもない部分だと思います。





(3)
ブレが大きい麻雀で、
うまくいくときはうまくいくし、ダメなときはダメ
といった戦い方をしたほうが優勝率は高いのではないか?



今回かなり見受けられた意見でした。

かなり抽象的な命題になってしまうので、
しっかり定義して話を進めます。


うまくいくときはうまくいくし、ダメなときはダメ


これはどういうことでしょうか?

をしっかり考えていきます。


<1>同じ着順分布でも、連勝や連敗が多くなるという意


ようするに全着順平均順位2.5としても、

113212 と 433424 のような区間が現れやすいという意味です。

確かにこれなら、短期の試合なら113212の部分が出てくれれば平均順位に劣る相手にも勝てる確率は上

がりそうです(実際に上がるかどうかは検証してみないとわかりませんが)


ではこんな分布が存在するのでしょうか?


答えは存在しません。


この分布が存在したとし、十分多い試合打ったとします。
この時1位を取った直後の半荘は成績が良くなっていることになり、
これは各試合の独立性に反します。

(なお各試合がルール上ではなく分布的に独立であることに反論する
すなわちオカルトを信じている場合は別の議論になるのでここでは論じません)


簡単な例を上げると、

サイコロを大量に振っていくとし、
このときに見分けがつかない

1が出やすいサイコロ
同等に2が出やすいサイコロ

同等に6が出やすいサイコロ

の6つのうちどれか一つを振るとします。
(いい時はいい目が出やすく悪い時は悪い目が出やすいということで、
ブレが大きい麻雀の簡単なモデルとなっています)

一見ブレが大きく、連続でいい目が出る確率も連続で悪い目が出る確率も増えていそうですが、
実は均等なサイコロを大量に振る際と変わらない結果になると言うことですね。


よって上手く行く時は上手く行くが、ダメなときはダメという麻雀でも、
順位分布が同じで連勝率を上げると言った戦術は存在しないということになります。

結局は収束順位分布がすべてということですね。


<2>ブレの大きさで順位分布が変わるという意

順位分布が同じでブレを内包していると言った打ち方が存在しないのは前述の通りなので、
ブレによって順位分布が変わる場合を考えます。


まずは簡単な例を考えます。


A:平均収支が高い1>2>3>4位麻雀と
B:平均収支が低いトップラス麻雀
(ただしトップ率は下の方が高いとする)

長期になればなるほどAの方が有利になりますが
1試合ではBの方が優勝率が高いことが分かります。


確かに短期になるほどブレが大きい方が強そうですね。

ではどのくらい強いのかを検証してみましょう。


1位-2位-3位-4位の分布が

C:20-30-30-20の平均順位2.5の打ち手

D:30-20-20-30の平均順位2.5の打ち手

を考えます。

この二人が30戦の短期大会を戦ったとして結果の平均順位を20000回記録しました。

その結果がこちら。

グラフ差し替え


30戦での平均順位の分布。赤トップラス、青2着3着。
縦軸が出現回数、横軸が平均順位


確かにブレが大きい方が分布が横に伸び、
大勝率、大敗率が上がっていることがわかりますが、
これはかなり微差です。


大雑把に平均順位2.3を切る確率で検証してみると、

16.5%対20.6%で約4%の違いが出ることになりますが、

この4%というのは、C(2-3位麻雀)の平均順位を0.01良化させるだけで逆転してしまう値です。


これほど極端にトップラスを設定しているにもかかわらず
(30%-20%-20%-30%という分布は、同程度の実力者内ではまずあり得ない)
この程度の差というのはほぼ無視していいレベルです。


さらにここに前述の「終了点による最適戦術」を考えると差はもっと縮まります。

簡単に説明すると、


最初の例

A:平均収支が高い1>2>3>4位麻雀と
B:平均収支が低いトップラス麻雀
(ただしトップ率は下の方が高いとする)

長期になればなるほどAの方が有利になるが
1試合ではBの方が優勝率が高い


ここにおいて1試合勝負でAさんが普段の麻雀を打たないということです。

トップしか意味が無いことが分かっているわけですから当然ですね。


点差や試合数によって明らかにブレを大きくする必要が出ると、
安定した分布側のうち手もブレの大きい麻雀を打つことになるため、
ブレによる差は結局大会の序盤中盤でしか影響が無いことになりなおさら影響が小さくなります。





◇まとめ


長々書いてしまいましたが、以上の考察を簡潔にまとめると、


長短期による最適戦術の変化は


(1)終了点や分岐点に対して正着が変化することへの対応による最適戦術の差異は存在し、
これは長短期というよりはルールに設定された試合数に応じて変わる。


(2)同一分布で連勝率や連敗率を増加させるような戦術は存在しない


(3)平均順位を落としてまで分布をトップラスにすることが最適戦術になることは、
(1)によってその必要が生じる以外には存在しない


(4)同一平均順位ではトップラスの方が短期に強いとは言えるが無視できるレベル




ということになります。



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